STS
Network Japan2013年度 春のシンポジウム
日本におけるSTS・科学技術社会論の25年
―その実際問題を、各世代の「若手」からのキャリアを通して考える―
STS Network Japanは、2015年3月に設立から四半世紀を迎えます。今回の春のシンポジウムはこの25周年に向けた企画として、それぞれの世代の「若手」がどのようにSTSと関係しながらキャリアをこれまで形成してきたか、あるいは形成するにあたっての課題に直面しているのかという視点から、日本におけるSTS・科学技術社会論という学術分野の実際の傾向や問題点を歴史的に浮き彫りにしていきたいと考えています。
日本におけるSTSは、「既存の学問の殻を突き破る新しい形の科学技術論の研究・教育分野」であることを志向してきました。このように、学際的ないし学術界の枠組みすらも超えようとする新分野であることが期待されたこともあり、その活動においてはそれぞれの時代の「若手」が重要な牽引役を担ってきました。そして、90年代以降の高等教育・科学技術政策の変革などにも大きな影響を受けながら、さまざまな活動を展開してきました。その中で、「若手」の構成も時とともに変化し、当初の「若手」は科学技術社会論学会を発足させつつ学術分野としての社会的確立を目指し、その一方でSTSNJは新たな「若手」に担われながらより自由な活動を展開しています。
ただ、このように活動を社会的に展開するにあたって、その内容に科学技術政策への動員や新自由主義の影響が指摘されたり、あるいは学術分野としての基盤があいまいであるがゆえにキャリア形成を考える上でのディシプリンとしての脆弱性が指摘されたりしています。そして、このような問題意識から、近年あらためて「日本におけるSTSとは何であった/何であるのか」を問い直す機運も高まっています。
そこで、今回のシンポジウムでは、STS以前に若手であった世代も含めて、自身のキャリア形成とSTSとの関係についてそれぞれの世代の方々に話題提供してもらうことで、この四半世紀のSTSの実際を当事者視点から浮かび上がらせていきたいと考えています。日本のSTSはその時代において何であったのか、学術分野として何が期待され、どのように機能したのか。まずは、STSとは何か、や、どうあるべきか、を理念的に議論するのではなく、実際にどうであったのか、を歴史的に検証したいと考えています。
なお、多様な情報に基づいて、多様な可能性を検証したいと考えています。そのため、登壇者による一方的な情報提供ではなく、参加者全体からの情報提供も重視するような進行を考えています。ぜひ世代を問わずさまざまな方にご参加いただけましたら幸いです。
※参加費、事前の申し込みは不要です。
※STSNJの会員でない方もご参加いただけます。
日時:3月29日(土)13:00-17:30(開場12:30)
場所:早稲田大学 理工(西早稲田)キャンパス 52号館101教室
東京都新宿区大久保3-4-1
※大隈講堂がある早稲田キャンパスではありませんのでご注意ください。
http://www.waseda.jp/jp/campus/nishiwaseda.html
プログラム
13:00 趣旨説明:夏目賢一(金沢工業大学)
13:20 小林信一(国立国会図書館)「1990年代における高等教育・科学技術政策の質的転回と科学技術社会論」
14:00 松原克志(常磐大学)「一個人のキャリアから考察するSTS Network Japanの展開―1990年代までを中心として―」
14:40 休憩
14:50 春日匠(原子力市民委員会)「STSの失われた10年―2000年代の<STSバブル>と科学技術コミュニケーション批判―」
15:30 標葉隆馬(総合研究大学院大学)「現在の学問分野としてのSTSの現状とその課題、そして若手キャリアの可能性と現実」
16:10 休憩
16:20 コメンテーター:木原英逸(国士舘大学)、森下翔(京都大学)
16:50 総合討論「学術分野・キャリアとしてのSTS・科学技術社会論」
17:30 終了予定(18時まで延長の可能性あり)